ジョルジュ・モランディ展のカタログの中に 桐島敬子さんという人の言葉があった。
2016年 03月 11日
絵を思い出して
そして、難しい紹介とかいろいろ。
言説を読んでいても今一つ ピンとこない。自分が美術史などの勉強不足ということもあるけれど…難しい。
その中で ある一人の日本人女性の言葉はピンときた。
1941年生まれのパリ在住の評論家の人が書いたものだ。
『アンソロジー:モランディーに対しての言説』というところの[邦文献]
モランディの絵は光が時間にメタモルフィズするのを感じさせてくれる。描かれた物体は光の粒子からできていることを、見る者はその次に感じ、物の存在さえも光が決定しているのを理解させる。光は外から無限に拡散して物体を包んでいるが、反対に包まれた物体の内からは太古から続いている悠久の時間が湧き上ってくる。[…]モランディは移り変る個々の物、そして忘却に気がつかせてくれるが、決してこれに対する惜しみや失われていく何かを悔やんでいるのではない。移り行く者に対する慰を持って、現在、われわれが立っている今という時に対して敏感にさせてくれるのである。そういう意味で、モランディの絵は現象学的なのだが、日本人なら恐らく同じ事を水に見たかもしれないが、地中海の人モランディは、時間を生む光にそれを強く感じたのだ。モランディが絵全体にかける埃のベールとは、まさに光そのものなのである。
桐島敬子「モランディ 光と時間」1987年
ー2016年 ジョルジョ・モランディ 終わりなき変奏展のカタログより抜粋ー
[ メタモルフィズの意]
英:metamorphose
変態→変身 一変する・させる 変容 全く違う状態にする・化ける 変態→形や状態が変わる