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クリスチャン・ボルタンスキー展 庭園美術館


旧朝香宮邸の『玄関』を入ると 正面にガラスのルネ・ラリックのレリーフが出迎えてくれる。右手の受付でチケットを見せると
受付の女性に「建物のお部屋から 声が聞こえてきます。これも展示のひとつですので…」というようなことを言われた。
「?」と思ったけれど そのまま中に入った。
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クリスチャン・ボルタンスキー展だった。



現代的な意匠の『大広間』に入る。

どこからか 大太鼓のような音が遠くの方で一定間隔に聞こえてくる。なんとなくだけれど。
 
左手に 『香水塔』が見える。 

白い陶器の『香水塔』に近づくと女性の声が聞こえる。普段 聞いている話し声のようだ。ちょっとびっくり。これがボルタンスキーの言う亡霊の声。
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男性の声 女性の声 年取った人 若い人 色んな人が 脈絡なく  日常的なことを話している。
『さざめく亡霊たち』という作品。

『第一階段』から2階へ。

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2階でも 案内の女性がいた。『若宮の居間』で… 中を見るとヒンヤリとした冷気が気持ちよく感じた。
「死を想え→メメント・モリ」西洋美術の伝統的な主題だそうだ。
『影の劇場』という作品
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そして 『書庫の部屋』
案内の女性が 「コチラの部屋の展示は 心臓音が聞こえます。神経に触る方もいます。お気をつけください。」と言われた。
暗い部屋に入ると 大きな心臓音・鼓動 と天井から赤いフィラメントの見える透明の電球が 鼓動のリズムに点滅している。
また なんかショック。 力強い鼓動音。もしかして胎児はこんな音を感じているのだろう。 
『心臓音』という作品。
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それから『殿下の居間』 『殿下の寝室』 『浴室』を挟んで 『妃殿下の寝室』。このプライベート空間の前に市松のタイルの床と尖った三角の照明のある 明るい『ベランダ』がある。此処を通って『妃殿下の居間』に出る。
この部屋のもう一つの裏のドアを出ると
ステンドグラスのような星の照明。
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『第二階段』を降りて 
新館展示室へ


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新館展示室への導入部のガラスに一定間隔に気泡が入っている。歪みの効果で影がおもしろい。皆既日食のときの木漏れ日を思い出した。

右手の部屋の前に案内の女性がいて 案内してくれた。



中にはたくさんの 半透明の布のスクリーンが迷路のようにかかっており そこには輪郭のはっきりしない女性の目の写真。コチラを見ているけれど怖くはない。
布の片方に少し通る空間があって どうしても布に触れてしまうけれど進んで行くしか無い。
観客を作品の内部に引き込む”インスタレーション”という手法。
『眼差し』という作品。”無数の匿名の眼差し”

部屋の中ほどに金色の山が・・・
古着をエマンジェンシー・ブランケットで包んだもの。「かつて存在したものの不在を暗示している」富がもたらすと同時に災いの元にもなり得る”黄金の山”の表裏を思い起こさせるそうだ。不安な感じのする作品だと思う。 『帰郷』という作品

そして
もう一つの展示室に ヴィデオの作品『アニミタス』
アニミタとはスペイン語で小さな魂。
暗い部屋の中に入ると 
砂漠の中に 無数の風鈴が風を孕んで音を鳴らしていた。まるで風を感じる。上から見るとポルタンスキーの生まれたときの星の配置を描いているそうだ。標高2000mを超えるチリのアタカマ砂漠。
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その後ろ側では 日本の森の中の木々に下がった 風鈴が音を鳴らしている。湿度のある馴染みのある水分のある空気を感じる。
香川県の豊島の森に今年できたそうだ。誰かの大切な人の名前を書いた風鈴だ。神社に絵馬を奉納するみたい。
『ささやきの森』というヴィデオの作品。

(因みにどちらも日本製の風鈴)
(しかし インスタレーションも ヴィデオ作品も 案内の人をなくしては なんだか入りにくかった。)

また旧館に戻って『大広間』。 あの遠くに聞こえる太鼓音が聞こえる。

『心臓音』だったんだ。

ポルタンスキーさんは、この邸宅を劇場のように使ったらしい。


クリスチャン・ボルタンスキー : 1944年パリ生まれ。独学で制作を始め、1960年代より映像作品やインスタレーションを発表。1972年以降、5年に一度開催されるドクメンタ(ドイツ カッセル)やヴェニス・ビエンナーレなど現代美術国際展にたびたび招待され、国際的に注目されるようになる。今日まで一貫して、匿名の個人/集団の生(存在)と死(消滅)そして記憶をテーマに世界各国で作品を発表している。日本では1990年にICA名古屋、水戸芸術館で初の個展を開催し、2000年以降は、越後妻有トリエンナーレや瀬戸内国際芸術祭への参加でも知られる。本展覧会では東京初個展となる。2006年高松宮殿下記念世界文化賞、また2015年に国際フリオ・ゴンザレス賞を受賞。フランスを代表するアーチストの一人である。
                            クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス ー さざめく亡霊たち 展覧会ガイドより



次は 庭園美術館の庭園。



by mo8_a29 | 2016-12-07 13:50 | 美術 | Trackback | Comments(0)

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